高強力繊維ロープ
どんなロープ?
超強力なスーパーロープ
高強力繊維ロープは、パラ系アラミド繊維ロープ、高強力ポリアリレート繊維ロープ、超高分子量ポリエチレンロープの主に3種類に分類されますが、共通の特徴として、並外れた高強力をもつことが挙げられます。
その特徴を生かして、ワイヤロープ(鉄素材)の代用となり、軽量化が図れるといった使われ方がされています。
高強力繊維ロープの短所
その高性能がゆえに、高コストであることが一番の短所です。
また、金属と比べると同じ強力を得るのに大幅な軽量化ができるといっても、金属と同じ耐摩耗性や切断抵抗(耐カット性)があるわけではないので、使用には注意が必要です。
高強力繊維ロープはこんなところで大活躍
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電設工事用ロープとして -
林業用ウィンチロープとして -
船舶用ロープとして
高強力繊維 ロープの 歴史

高強力繊維の誕生
1965年に化学者でデュポン社に勤めていたステファニー・クオレクによって、世界で初めて高強力繊維が開発されました。これが「ケブラー」です。
その後、日本でも高強力繊維の開発が始まり、1987年に帝人が販売開始した「テクノーラ」は日本企業が独自技術で初めて開発した高強力繊維となりました。(上記2種類はパラ系アラミド繊維)

高強力繊維の分化とロープとしての製品化
続いて、1990年にはクラレが世界で初めて高強力ポリアリレート繊維(ポリエステル系液晶ポリマーという材料を原料に作られた繊維)を工業化します。これが「ベクトラン」です。
そして、1984年からはオランダのDSMと東洋紡が共同研究し、事業化したのが超高分子量ポリエチレン繊維でDSMでは「ダイニーマ」東洋紡では「イザナス」というブランドで販売されています。
いずれの高強力繊維もロープとして製品化され、その高い性能を存分に発揮しています。
高強力繊維ロープのデータ
強さ | 伸びやすさ | 比重 | |
---|---|---|---|
パラ系アラミド繊維ロープ |
1.42 |
||
高強力ポリアリレート繊維ロープ |
1.38 |
||
超高分子量ポリエチレンロープ |
0.98 |
高強力繊維ロープの種類と違い

パラ系アラミド繊維ロープ
代表ブランド(繊維名):デュポン「ケブラー」 帝人「テクノーラ」
特徴:高強力とともに耐熱性が高いのが特徴。水に沈む。

高強力ポリアリレート繊維
代表ブランド(繊維名):クラレ「ベクトラン」
特徴:高強力とともに低吸湿性が特徴。水に沈む。

超高分子量ポリエチレンロープ
代表ブランド(繊維名):東洋紡「イザナス」 DSM「ダイニーマ」
特徴:他のスーパー繊維をはるかにしのぐ高強力と、軽量性(水に浮く)
ただ、融点が低く、耐熱性が求められる用途には使えません。